「ば」と「たら」と「なら」 「北海道に行けばスキーができる」「北海道に行ったらスキーができる」「北海道に行くならスキーができる」のように、条件を表すとき「ば」「たら」「なら」などの表現が用いられます。それぞれの特徴を考えてみましょう。 まず、「ば」は「話せば分かる」「四月になれば花が咲く」のように、ある条件のもとでどうなるか、仮定や想定による結果を導き出すために使われるのが一般的です。 一方、「たら」は仮定や想定だけでなく、広く「あることが実現したとき」という意味を表します。「許可が下りれば行く」と「許可が下りたら行く」は仮定として使う場合は違いを感じませんが、仮定ではなく許可が下りることがはっきりしていて「許可が下りたそのとき」と言いたい場合には、「下りたら」を使うことが多いのではないでしょうか。また、「きのうスーパーに行ったら先生に会った」は過去に実際に起こったこと、「あしたスーパーに行ったら卵を買ってきて」は未来に起こることですが、いずれも「たら」は「~したそのとき」というほどの意味で使われています。したがって、「たら」を用いれば、文末に命令・依頼・勧誘・意志など、どんな表現でもかなり自由に持ってくることができます。「売り切れちゃったら、ごめんなさい」という宝くじの宣伝文句はそのよい例です。 最後に「なら」の特徴は、前に動詞のル形を付け「行くなら」のようにして、動作が実現する前を想定することができることです。「北海道に行くなら厚い手袋を用意しよう」は行く前のこと。「行けば」や「行ったら」が行った後のことを想定するのに比べ対照的です。尚、「行ったなら」のように「なら」の前に動詞のタ形を置くと、行った後のことを表しますが、この表現は「行ったら」と意味がそれほど変わらず、使う場面も限られているので、初級の段階では導入しないほうが無難です。また、名詞を直接前に付けて「海外旅行なら中国です」のように、相手や自分が話題にしようとする主題を表すときに「なら」を使うというのは知っておきたいことです。 「ば」と「たら」は置き換えて言える場合が多く、地方によって使い方にかたよりも見られる(関西では「たら」を使うことが多い)ので、あまり細かな違いに惑わされることなく、基本をおさえて教えたいものです。
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