ジョーンズ氏:鈴木さんは現代の日本社会の特色をどういうふうにお考えですか。 鈴木氏:私の個人的な考えですが、「平等化」が進んでいるのが特色ではないかと思います。第二次大戦後、財閥や華族制度が廃止さえましたので、華族とか上流階級はないんですね。 ジョーンズ氏:そうすると、日本にはヨーロッパのような上流階級はないんですね。 鈴木氏:ありません。また、そのほかにもいろいろな面で平等化の表れではないかと思います。 ジョーンズ氏:それでは、現在日本ではどういう人々が社会的に地位が高いと見られているのですか。 鈴木氏:大企業の経営者、高級官吏、一流大学教授、医師、弁講士、国会議員などです。こうした地位につくには、本人の努力と学歴によるところが大きいのです。 ジョーンズ氏:そうすると、努力さえすれば、だれでもこうした地位につけると言うことですね。 鈴木氏:そうです。教育面でも、、教育の機会が平等二万人に開かれています。ですから教育での競争は激しくなるんです。 ジョーンズ氏:平等だからこそ、 そこから抜きん出るために、かえって競争が厳しいというのはわかります。この点は、アメリカでも似たところがありますね。 鈴木氏:第三者の立場から見ると、日本企業の中で就業員が互い激しく競争しているとは、なかなかわかりにくいですね。日本は集団として固まっているように見えます。そんな競争があることは想像もできません。 鈴木氏:企業間の競争も厳しいんですよ。たとえば創造業者は、他社より少しでも新しく、品質もよく、安い製品は開発しなければなりません。それは一つには、ユーザーのほうも新しい機能とか品質に敏感なこともあるんです。しかも日本では、情報はどこにでも行き渡っています。だから新製品のニュ-スもすぐに広がるんです。 ジョーンズ氏:それで、日本人は新しいものが好きなんですね。 鈴木氏:そのうえ、他人より先を越したがるんですね。ですから、ものを買う場合でも、他人より少しでお早く、最新でよい品質?特色のあるものを買おうとします。 ジョーンズ氏:それで、新製品が市場に早く普及するんですね。ところで、一般の日本人は、社会階層という面から自分たちをどう考えているんでしょうか。 鈴木氏:日本の総理府で、日本人の生活制度の意識をほぼ毎年調査していますが、ここ20年以上ほどの調査はだいたい同じです。 ジョーンズ氏:どういう結果ですか。 鈴木氏:ほぼ90%の人が中流意識を持っているということです。自分の生活が上流だと思っている人はせいぜい1%以下なんですよ。 ジョーンズ氏:さっきの「平等化」が国民の中に行き渡っているんですね。 鈴木氏:外国人から日本人は裕福なんだといわれても。平均的日本人は実際にどう考えてよいのか分からないんですよ。「私も気持ち!」と一人言いをいうだけで、とても信じられないんです。 ジョーンズ氏:日本をうらやましく思っている国民は世界にたくさんいうというのにですね。 鈴木氏:日本の社会を語る時には、「安全性」についても触れておなかなければいけないと思います。世界の先進諸国と比べても、殺人などの凶悪な犯罪は極めて来ないんです。東京の繁華街はたいてい夜、女性一人で歩けますしね。 ジョーンズ氏:私ども日本に来て、街の中の犯罪ガ少ないことはありがたいと思っていますよ。
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