ジョーンズ氏:この前、友人の日本の大学教授の研究室を訪ねたところ、学生が何人が訪ねてきました。学生はとても礼儀が木賃としていましたよ。部屋に出入りするときも、先生に対して大変丁寧にお辞儀をしていました。 鈴木氏:よいところに目をつけられましたね。日本では、年齢とか社会的地位などの基準によって、序列を意識するんです。行動の仕方も、相手が目上の人か目下によって違ってきます。先生には、友人などと比べるとずっと深いお辞儀をします。 ジョーンズ氏:公衆国ですと、公的なばで教授を呼ぶときは違いますが、個人的な会話では、教授も学生も全くくだけた話し方をすることが多いんです。ファーストネームで教授を呼ぶ学生さえいます。日本では、どうですか。 鈴木氏:日本で、学生が先生にそんなことをしたら、大変なことになります。とても考えられません。先生は失礼だと、たぶん怒り出すでしょうね。上下の関係を重視しますので、言葉も先生に対しては敬語を使います。これは社会に出てからも同じです。上司や目上の人には敬語を使います。ビジネスのうえでも、敬語を適切に使えない人は、日本ではビジネスができないでしょうね。セールスマンが友人に話すような言葉遣いでは客は絶対買ってくれません。 ジョーンズ氏:その点、英語はつくづくありがたいと思いますよ、私が日本語で微妙な意味合いの違いをつけられるような成るなんてとても考えられませんね。 鈴木氏:言葉はその国の文化そのものとしっかり結びついています。外国でさだったひとがけいごまでマスターするのは、たいへんでしょうね。また、日本人は一般に他人と離れた行動をとるのを避ける傾向があります。他人がどう思うか気にしたり、影響を受けたりします。 ジョーンズ氏:集団主義だといわれるのも、そんな点にあるのではないでしょうか。 鈴木氏:それに関係があると思いますね。ですから、日本人は自分主張が苦手なんです。相手の気持ちや立場ヲ察して、それらを考えながら発言したり、行動したりする傾向も強いんです。 ジョーンズ氏:これは欧米人とはずいぶん違いますね。アメリカでは、子供に、独立心、責任感、創造力,独創性、個性を持つように教えています。また論理的に考えたり、自分の意見や意思を自由に発言できるように訓練しています。 鈴木氏:そのようですね。私も子供がアメリカの小学校に通っていましたので、何回か授業を見学したことがありますから、知っています。日本とだいぶ違っていますね。日本人は「イエス?ノ」がはっきりしないと外国人からよく非難されます。日本と言う国は基本的に比較的同質の民族からできていますし、摩擦を避けようと言う傾向が伝統的にあるんです。これはまた他人年に対する甘えにもつながることがあるんです。 ジョーンズ氏:粉間アメリカの女性社会学者のフローレンス?クラックホーンの本を読んでいたら、面白いことが出ていましたよ。 鈴木氏:それはどういうことです。 ジョーンズ氏:人間と自然とのかかわり方に対する態度が国民によって違うんだそうですよ。 鈴木氏:アメリカ人はどう対応するんですか。 ジョーンズ氏:アメリカ人は「自然は人間に征服される」べきものであると考えているんです。 ジョーンズ氏:メキシコの農民は「人間は自然に屈服すべきものだ」と考え、日本人は「人間は自然と調和を保つべきものだ」と考えているそうです。 鈴木氏:確かに日本についてのその考え方は本当ですね。そのことは、例えば日本の建築や庭園を見てもわかります。日本人は、自然のものをその自然のままの形で生かしていこうとします。
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