問:
高校『日語』教科書第1冊第1課に「小学生の時には童話の本をたくさん読みました」という文があります。この「読みました」を「読んでいました」に置き換えることはできるでしょうか。もしできるなら、どういう区別があるのでしょうか。
答:
結論からいうと、どちらも使えます。
「読みました」は、小学生の時に「読んだ」という事実を客観的に述べています。この場合、たくさん読んだことを読者に伝えたい気持ちが含まれています。
一方「読んでいました」は小学生の時に、「読む」という動作が続いていたことに重点が置かれています。つまり、過去の時点で続いていたことを表しています。
第1課には「わたしは夏休みに毎日音楽を聞きました」という文が出てきます。「毎日」だから「聞きました」を「聞いていました」に置き換えたほうがいいのではないか、という質問もありました。この文の場合も、置き換えることができます。「聞く」や「読む」は継続動詞で、「聞いていました」「読んでいました」は動作の進行状態を表しています。また、「毎日」があるから「聞いていました」のほうがいいのではないか、ということについては、文章の書き出しでなければ、そのほうがいい場合もあります。しかし、この場合は、書き出しを「音楽を聞いていました」とすると、何か唐突な感じを読者に与えます。やはり客観的な事実を伝える「聞きました」としたほうがいいでしょう。「毎日」をつけると、毎日聞くほど音楽が好きだということが強調されます。
加納陸人 文教大学教授/『日語』日本側主任編集委員
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