問:
高校『日語』教科書第1冊第1課「わたしたちの夢」の本文には、次のような三つの文があります。
(1)小学生の時には、童話の本をたくさん読みました。 (2)中学生の時、童話を書いてみました。 (3)中学三年の時、体操の練習でけがをして入院しました。
上の三つの文はそれぞれ「小学生の時には」「中学生の時」「中学三年の時」とありますが、それぞれ話し手のどんな気持ちを表したものでしょうか。「~の時」「~の時に」「~の時には」は、区別しにくいのですが、どのように違いますか。
答:
ここでは「名詞+の+時/時に/時には」に限定して考えていきたいと思います。
「~時には」は、主題をとりたて、話し手の判断や対比性を表します。①の文は現在やほかの時期と比べて、小学生の時自分はどうだったかを振り返ってみると、「童話の本をたくさん読んだ」という判断や意識が働いたと考えられます。①は本文の書き出しでもあり、小学生の時のことを相手に伝えたい気持ちが働いています。
「~の時」と「~の時に」と比べると、「に」をつけたほうが、ある時の一点を表し、その時にどんな行為や事態が発生したかを表しています。例えば「子供の時によく動物園に行きました。」という文は「子供の時」という時点に視点が置かれています。
(1)の文を「小学生の時」に置き換えた場合、(2)と(3)と同じように、ただその事実を述べるだけです。それに対して、「小学生の時に」に置き換えた場合、「童話の本をたくさん読んだ」時点に視点が置かれます。
加納陸人 文教大学教授/『日語』日本側主任編集委員
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