問:
高校『日語』第一冊に目的を表す「~ために」(第1課)、「~ように」(第13課)がありますが、使い方の違いを生徒によく質問されます。生徒に説明しにくいところですので、教えてください。
答:
「~ために」は、行為をする人がある目的のために何かをすることを表しています。「XためにY」では、Xは意志的な動作を表す動詞で、XとYの主体は同じでなければなりません。「~ために」の「に」は省略されても意味は同じです。
一方、「~ように」は、望ましい状態が実現することを願ってという意味合いを持っています。「XようにY」のXの部分には、一般的に意志的な動作でなく、状態性を表す動詞や可能形、否定形などが来ます。XとYは、主体が同じ場合も異なる場合もあります。
(1) 留学するために、お金をためています。{×ように} (2) 留学できるように、お金をためています。{×ために} (3) 子どもが留学できるように、お金をためています。{×ために}
(1)は意志的動詞で、主体は同じです。②は無意志的動詞で、主体は同じです。③は無意志的動詞で、主体が異なっています。
否定の表現「~ないために」「~ないように」は、多くの場合、同じ文脈で両方使えますが、ニュアンスが少し違います。
(4)遅れないように/ないために、いつも早めに家を出ることにしています。
両者を比べると、「~ないように」は予防的で消極的、「~ないために」は積極的で前向きな印象を与えます。
加納陸人 文教大学教授/『日語』日本側主任編集委員
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