かには、ある日、油田を見つけました。世界で二番目と言う大きなものでした。かには、そこから湧き出る石油を売って、暮らしていました。うすやはちは、かにに取り入って、たくさん分けてもらっていました。でも、さるには分けてあげませんでした。かには、むかし、さるにひどい目にあったからでした。さるがなげた柿が甲羅に当たって大怪我をしたこともありました。さるは、高いところから物を投げるのが得意だったのです。だから、かには、地面に穴を掘って隠れるのがうまくなりました。 さるは、ぜんぜんおもしろくありませんでした。いつか、かにをやっつけてやろうと思うようになりました。かににも悪いところはありました。仲間のかににはちょこっとだけ分け与え、ほとんどは自分のために使っていたのです。それに、さからうかにをひどい目にあわせていたのです。 さるは、そこに目をつけて、そのかにをやっつけようと、うすやはちに持ちかけました。でも、うすやはちは、今のままで十分石油は手に入るし、さるに横取りされるのが心配でしたから、強く反対しました。さるはいらいらしていました。 さるは、ついに我慢しきれなくなって、かにを攻撃し始めました。高いところから、それはそれはたくさんの青い渋柿を投げつけました。かにはほとんど抵抗することなく逃げまどいました。そして、一ヶ月もしないうちに、どこかにいなくなってしまいました。さるは、地面に降りて探しましたが、かにを見つけることはありませんでした。きっと、誰にも見つけられない隠れ家にいるか、大きな柿に隠れ家ごとつぶされたかなのでしょう。さるは、小さなかににすねの毛を切られたりしたこともありましたが、大した傷ではありませんでした。これでほとんどの石油を自分の意のままにできるとよろこんでいました。 困ったのは、うすやはちでした。このままではさるの思うがままになります。大きなくりや小さなくりを誘ってさるに抵抗しようと思いましたが、さるの投げる渋柿攻撃のことを思うと、おっくうになってしまいます。ふたりで顔を見合わせて、こまったこまったと思うばかりでした。 ところが、さるにしても、かにの国ごとぶん取るわけにはいきませんから、自分の言うことを聞くかにを探して、この国を続けさせなければなりません。これがまたたいへんです。かにには色んなかにがいて、さるが嫌いなのもいっぱいいました。あちこちでかにが勝手なことをしていて、まとまりがつくことはいつまでもないようにも思えました。 うすやはちやくりのことをずっと無視することもできません。うすやはちは、我儘なかにがいなくなって困っているのですが、さるの意のままにさせるわけにはいかないと、あれやこれやと水面下で画策するでしょう。今は肺の病で困っている大うすも元気になれば侮れません。大うすの隣には、めんどうなのもいます。 さるは、頭を抱え込むようになりました。自分はこんなにがんばったのだから、もっと得をしていいはずだ。たのしくていいはずだと思っていたのですが、そうは問屋が卸さないようです。今までしっぽをふって言うことを聞いてばかりだった小さな子犬も、このごろでは随分とやせ細ってきていますから。 さるは、倒されたかにの像の上で、腕組みをしたまま、困っていたそうです。いつまで続くのでしょうか、合戦は...
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